もともと僕は、太りやすい体質だった
今でこそ「低甘味・低脂肪のお菓子を作る人」として見てもらうことがありますが、最初からそんな考えがあったわけではありません。
その土台には、まず自分自身が太りやすい体質だったことがあります。
子どもの頃から食べることが好きでした。
そして、しっかり太っていました。
小学校の頃には、肥満気味の子どもを集めた「子熊グループ」というものがあり、そこに入っていた記憶があります。
今思えば、そういう立場はからかわれるには格好の餌食でもありました。
しゃべれば「脂肪が飛ぶ」と言われたり、
動けば「邪魔」と言われたり、
「暑苦しい」と言われたり。
子どもながらに、いろんなことを言われていた記憶があります。
太ることは、ずっとどこかで自分の中のテーマだった
学生の頃はサッカーをやっていたので、なんとか太りすぎることは防げていました。
でも、中学の夏季大会が終わってからは一気に体重が増え、100キロ近くになったこともあります。
基本的には、太りやすい体質。
これは昔からずっと変わらない、自分の中の前提でした。
だからこそ、食べることと体のことは、どこかでずっと切り離せないテーマでもありました。
甘いものが好き。
食べるのも好き。
でも、太ることへの意識もある。
この感覚が、後々のお菓子作りの考え方にもつながっていったのだと思います。
食生活を見直す中で、「今の世の中は濃いものが多い」と感じた
修行時代に入ってからも、もちろん甘いものに囲まれる生活でした。
でもその一方で、自分自身の体のことを考えて、少しずつ食生活にも気をつけるようになっていきました。
その中で感じたのが、今の世の中って、思っている以上に味が濃いものが多いということでした。
甘さも濃い。
脂も濃い。
味のインパクトも強い。
それが悪いわけではないけれど、気づけば「濃いこと」が美味しさの基準になりすぎている気もしたのです。
素材そのものでも、十分おいしいはずだと思った
フルーツをそのまま食べても美味しい。
野菜をかじっても、ちゃんと味がある。
素材そのものにすでに美味しさがあるなら、それをもっと活かす方向があってもいいんじゃないか。
そう思うようになりました。
もちろん、お菓子作りにおいて糖分や脂肪分はとても大切です。
ケーキを安定して作るためにも必要だし、なめらかさやしっとり感、コクや満足感を作る大事な要素でもあります。
これは、ケーキ作りをやっていくうちによくわかるようになりました。
でも一方で、必要以上に甘さや脂肪分に頼らなくても、素材の良さを活かして美味しさを作ることはできるのではないか。
そう考えるようになっていきました。
低甘味・低脂肪は、ただ減らせばいいわけではない
ここが、お菓子作りの難しいところでもあります。
ただ単純に、糖分や脂肪分を下げればいいかというと、そんなに簡単な話ではありません。
甘さや脂肪分を抑えすぎると、
パサつく
ザラつく
浮きが悪くなる
口どけが悪くなる
日持ちがしにくくなる
など、いろんな支障が出てきます。
お菓子作りにおいて、糖分や脂肪分は単なる「贅沢な要素」ではなく、ちゃんと役割があるんです。
だからこそ、減らすのではなく“活かし方”を考えるようになった
大事なのは、ただ減らすことではなく、どう活かすかだと思っています。
必要なところには必要なだけ使う。
でも、いらないところまで重たくしない。
素材の美味しさを邪魔しない。
食べたあとに、必要以上の罪悪感を残さない。
そういうバランスを探っていくことが、自分にとっての低甘味・低脂肪のお菓子作りでした。
「罪悪感なく食べられるケーキを作りたい」と思うようになった
自分は男性ですが、子どもの頃から、かわいいものを見て「かわいい!」と思える感覚がありました。
あの、女の子が何かを見て素直に「かわいいっ!」となる、あの感じです。
そして同時に、自分自身も幼い頃から太ることを気にしてきました。
その両方があったからこそ、女性が食べる時に感じやすい“罪悪感”のようなものも、なんとなく想像できるようになってきた気がします。
食べたい。
でも気になる。
美味しいものは好き。
でも、食べたあとに少し後ろめたさが残る。
そういう気持ちです。
その罪悪感を、少しでも減らせるお菓子を作りたかった
だったら、自分はその罪悪感を少しでも減らせるケーキを作りたい。
いつの頃からか、そう思うようになりました。
もちろん、ケーキは嗜好品です。
食べなくても生きていけるものかもしれません。
でもだからこそ、食べる時間がもっと自由で、もっと幸せなものであってほしい。
食べることを我慢するのではなく、できるだけ気持ちよく楽しめるようにしたい。
この思いは、THE NICOLEを始めた今でもずっと自分の中にあります。
修行時代に、「こういうお菓子作りでもやっていける」と確信した
最後の修行先は、今はもうありませんが、滋賀県野洲市にあった「petit doll(プティドール)」というお店でした。
そこでは、たまたま自分と同じように、低甘味・低脂肪のスイーツを心がける考え方がありました。
これは自分にとって、とても大きな出会いでした。
それまで自分の中でぼんやりとあった
「もっとやさしい味わいでもいいんじゃないか」
「甘さや脂肪分を抑えても、美味しいお菓子は作れるんじゃないか」
という思いが、そこで少しずつ形になっていったからです。
無理難題のオーダーが、自分を鍛えてくれた
そのお店では、オーナー夫人からの無理難題のようなスイーツの要望もたくさんありました。
でも、今思えばそれがすごく勉強になりました。
いろんな条件の中でお菓子を作る。
素材を活かす。
糖分や脂肪分を抑えながらも、ちゃんと成立させる。
そういう経験を積み重ねることで、
「ちゃんとできるんだ」
「やり方次第で、お菓子作りはもっと自由なんだ」
と、わかっていきました。
それは、自分の今のお菓子作りの土台になっています。
今のヴィーガンスイーツ作りにも、その経験が生きている
今、当店で展開している Nicole Naturelle は、卵・乳・小麦を使わない、ヴィーガン対応のスイーツシリーズです。
こういう商品作りにも、過去の経験はしっかり生きています。
糖分や脂肪分をただ下げるだけではなく、
素材をどう活かすか。
制限がある中で、どう美味しさを作るか。
どうすれば「食べられるもの」ではなく「食べたいもの」になるか。
そういう考え方は、修行時代からずっと積み上げてきたものです。
制限があるからこそ、見えてくる美味しさもある
卵、乳、小麦を使わない。
普通に考えれば、お菓子作りにとってはかなり制限があります。
でも、制限があるからこそ、素材そのものを見直すことにもつながる。
どうすればこの素材が活きるのか。
どうすれば余計なものに頼らず、美味しさを作れるのか。
その問いを重ねていくと、逆にお菓子作りの可能性が広がることもある。
今はそう感じています。
まとめ:低甘味・低脂肪は、自分の経験からたどり着いたお菓子作りの形
低甘味・低脂肪のお菓子を作る理由は、単なる流行りでも、健康志向の真似でもありません。
太りやすい体質だったこと。
子どもの頃から体型を気にしてきたこと。
食べることが好きなのに、どこかで罪悪感も抱えていたこと。
修行時代に素材を活かすお菓子作りに出会えたこと。
その全部がつながって、今のお菓子作りがあります。
自分が食べたいと思えるもの。
人に出したいと思えるもの。
食べた時に、必要以上の罪悪感を持たせないもの。
そういうお菓子を、これからも作っていきたいと思っています。
甘いものを我慢させるのではなく、
甘いものとの付き合い方を少しやさしくする。
THE NICOLEの低甘味・低脂肪のお菓子には、そんな思いを込めています。
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【THE NICOLE 店舗情報】
京都・堀川商店街の洋菓子店
THE NICOLE(ザ・ニコル)
「幸せは体から」をコンセプトに、
甘さや脂肪分を抑えた、体にやさしいスイーツをお届けしています。
ふんわりしっとり食感のシフォンケーキや、誕生日ケーキ、焼き菓子など、
日常のおやつから贈り物まで、心に残るお菓子作りを大切にしています。
日本一走るパティシエとして、
仕事も人生も楽しみながら、お菓子を通して小さな幸せを届けています。
〒602-8243
京都府京都市上京区奈良物町481 出水団地318
営業時間:10:30〜16:00
定休日:月・火
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