走ることと、お菓子作りに共通するもの【前編】

挑戦する力、考える力、そして失敗との向き合い方

走ることと、お菓子作り。

一見すると、まったく違うものに見えるかもしれません。

走ることは、自分の体を使ってゴールを目指すもの。
お菓子作りは、素材と技術を使って、一つの商品を形にするものです。

しかし自分の中では、この二つは深くつながっています。

マラソンやトライアスロンを続ける中で身についた考え方は、お菓子作りだけでなく、新商品の開発や店舗運営、人生における選択にも生かされています。

今回は前編として、

未知のものへ挑戦すること。
与えられた条件の中で考えること。
失敗との向き合い方。
自分のペースでゴールを目指すこと。

この4つについて書いていきます。

走ることで、未知のものへ挑戦するハードルが下がった

マラソンやトライアスロンの大会を見つけた時、自分はまず、

「出てみたい」
「やってみたい」

という気持ちが先に出ます。

その大会がどれほど難しいのか。
今の自分に完走できるのか。
どのくらいの練習が必要なのか。

本来なら、そうしたことを十分に考えてから決めるものかもしれません。

しかし自分の場合は、細かいことを考える前にエントリーしてしまうことがよくあります。

自信があるからではありません。

できるかどうかよりも、やってみたいという気持ちを優先する癖がついたのだと思います。

できるかどうかを考える前に、まずやってみる

初めて挑戦することには、不安があります。

完走できなかったらどうしよう。
練習時間を確保できるだろうか。
自分には難しすぎるのではないか。

考え始めれば、できない理由はいくらでも見つかります。

けれど、大会へ申し込んでしまえば、あとはそこへ向かって動くしかありません。

ゴールから逆算して、必要な練習を考える。
今の自分に足りないものを見つける。
一つずつ準備していく。

先に挑戦することを決めるからこそ、その後に考える力が生まれます。

すべての準備が整ってから挑戦するのではなく、まず挑戦することを決めて、必要な準備を始める。

走ることを続ける中で、そんな行動の仕方が身につきました。

その行動力は、仕事にも生きている

仕事も人生も、選択の連続です。

新しい商品を作るのか。
店の仕組みを変えるのか。
新しい発信を始めるのか。
今までと違うことに挑戦するのか。

新しいことを始めようとすると、つい不安な部分ばかりが見えてきます。

失敗するかもしれない。
時間が足りないかもしれない。
お客様に受け入れてもらえないかもしれない。

しかし、やってみなければ分からないこともたくさんあります。

自分には、興味を持ったことや、やってみたいと思ったことに対して、先のことを考えすぎず、とりあえず動いてみる癖があります。

そのため、新商品の試作や店舗の運用を変える時にも、比較的軽い気持ちで最初の一歩を踏み出せます。

もちろん、動いた結果がすべてうまくいくわけではありません。

それでも、動かなければ何も始まりません。

走ることによって身についた「まず挑戦してみる」という姿勢は、お菓子作りや店の成長にも大きく影響していると思います。

マラソンは、考える力と想像する力を鍛えてくれる

マラソンは、ただ走れば速くなるものではありません。

どのような大会を目指すのか。
今の自分には何が足りないのか。
どの練習を、どの時期に行うのか。

目標によって、必要なトレーニングは変わります。

短い距離を速く走るための練習と、長い距離を一定のペースで走り続けるための練習は同じではありません。

フルマラソン、ウルトラマラソン、トライアスロンでも、求められる能力や準備は変わります。

限られた時間や体力の中で、何を優先するのか。

効率よく結果へつなげるためには、常に考える必要があります。

与えられた条件の中で、何が最善かを考える

仕事をしながら競技を続けていると、練習だけにすべての時間を使うことはできません。

仕事の予定、疲労、体調、気温、大会までの期間。

さまざまな条件があります。

その中で、

「今の自分には何が必要なのか」
「今日はどの練習をするべきなのか」
「何をすれば一番結果につながるのか」

を考えます。

これは、お菓子作りや店舗運営にも共通しています。

使える素材、製造時間、人員、設備、販売価格、季節、お客様の需要。

すべてが理想的な条件になることはありません。

限られた条件の中で、どうすればより良い商品を作れるのか。
どうすれば無理なく店を運営できるのか。
何を優先し、何を変えるべきなのか。

与えられた条件を嘆くのではなく、その中でできる最善を考える。

マラソンのトレーニングを通じて身についたこの考え方は、仕事のさまざまな場面で生きています。

ゴールから逆算することで、今やるべきことが見える

大会には、開催日という明確な期限があります。

その日に自分がどの状態になっていたいのかを考え、現在地から逆算して練習を組み立てます。

これは、新商品を作る時も同じです。

発売日までに何を決める必要があるのか。
いつまでに試作を終えるのか。
原価や価格、見せ方、製造方法をどうするのか。

ゴールを先に決めることで、今やるべきことが見えてきます。

ただ目の前の作業をこなすのではなく、目指す場所から逆算して考える。

走ることは、体だけでなく、考える力や想像する力も鍛えてくれていると感じます。

失敗は、成功へ向かう途中にある経験

何かに挑戦すれば、思いどおりにいかないことは必ずあります。

練習しても結果が出ない。
目標タイムに届かない。
大会の途中で体調を崩す。
思っていたように体が動かない。

お菓子作りでも同じです。

試作した商品が美味しくならない。
想像していた食感にならない。
見た目は良くても、製造に時間がかかりすぎる。
商品として完成しても、思ったほど売れない。

こうした出来事だけを見れば、失敗と言えるのかもしれません。

しかし自分は、失敗そのものは存在しないと考えています。

うまくいかなかったことから、次に必要なものが見える

思った結果が出なかった時には、必ず理由があります。

練習の内容が合っていなかったのか。
疲労が抜けていなかったのか。
ペース配分を間違えたのか。
補給や水分が足りなかったのか。

お菓子作りなら、配合、温度、混ぜ方、焼き方、素材の組み合わせなど、どこかに改善できる部分があります。

うまくいかなかったからこそ、次に変えるべき場所が分かります。

何も挑戦しなければ、何が足りないのかすら分かりません。

挑戦した結果として得られたものなら、それは失敗ではなく経験です。

失敗は終わりではなく、成功までのプロセス

何かを目指す上で、成功というゴールがあるなら、その過程はうまくいかないことの連続かもしれません。

しかし、その一つひとつが成功へ近づくための材料になります。

一度うまくいかなかったからといって、そこで終わりではありません。

まだ方法が合っていないだけかもしれない。
準備が足りていないだけかもしれない。
今の自分には、もう少し時間が必要なのかもしれない。

目指すゴールが見えているなら、うまくいかなかった経験も、そのゴールへ続く道の一部です。

失敗したのではなく、まだ伸びしろが残っている。

そう考えることで、次の一歩を踏み出しやすくなります。

一歩ずつ進めば、必ずゴールに近づいていく

フルマラソンは、42.195キロあります。

スタート地点に立ち、ゴールまでの距離を考えると、とても長く感じます。

しかし、どれほど長い距離でも、一歩ずつ前へ進めばゴールに近づいていきます。

速く走れる人もいれば、ゆっくり走る人もいる。
途中で歩く人もいれば、立ち止まる人もいます。

人によって、進むペースは違います。

それでも、歩みを止めずに前へ進み続ければ、ゴールへたどり着くことができます。

h3 人と比べるのではなく、自分のゴールを見る

マラソンでは、自分より速い人がたくさんいます。

周りを見れば、自分より強い人、経験のある人、良い結果を出している人はいくらでもいます。

しかし、人と比べて焦ってペースを上げれば、自分の走りを崩してしまいます。

大切なのは、誰かと同じ速さで走ることではありません。

自分の現在地を知り、自分のペースで、自分のゴールへ進むことです。

仕事や人生でも、つい周りと比べてしまいます。

他の店の売上や商品、人気、規模、発信力。
自分より先へ進んでいるように見える人は、いくらでもいます。

しかし、目指している場所も、置かれている条件も違います。

人と比べて焦るのではなく、自分がどこへ向かいたいのかを見失わないこと。

マラソンを走る中で、その大切さを何度も感じてきました。

大きな目標も、今日の一歩から始まる

遠くにあるゴールだけを見ていると、達成できるのか不安になります。

しかし、実際にできることは、今日の一歩を積み重ねることだけです。

一度の練習ですべてが変わるわけではありません。
一度の試作で完成する商品ばかりでもありません。
一つの取り組みだけで店が大きく変わるわけでもありません。

それでも、今日できることを一つずつ積み重ねれば、確実に前へ進みます。

大切なのは、最初から完璧にできることではありません。

歩みを止めないことです。

走ることは、挑戦し続けるための考え方を教えてくれた

走ることを続ける中で、自分はさまざまなことを学びました。

できるかどうかを考えすぎる前に、まず挑戦してみること。

与えられた条件の中で、何が最善なのかを考えること。

うまくいかなかったことを、失敗ではなく経験として次へつなげること。

人と比べるのではなく、自分のペースで一歩ずつ進むこと。

これらはすべて、お菓子作りや店舗運営、そして人生にも共通しています。

走ることで、足が速くなっただけではありません。

新しいことへ踏み出す力や、自分で考える力、簡単に諦めない考え方が少しずつ身につきました。

そして、その考え方が今のTHE NICOLEのお菓子作りや店づくりにもつながっています。

後編では、

基本となる土台の大切さ。
頑張りすぎず、自分のペースで続けること。
小さな変化に気づく力。
継続することで感覚が磨かれること。
結果だけでなく、過程に価値があること。
自分と向き合う時間。
毎日の積み重ねが、最後に大きな差になること。

について書いていきます。

京都の洋菓子店「THE NICOLE」店主・ニコルです。
ふわふわシフォンケーキや体にやさしいスイーツを作りながら、マラソン・トライアスロンにも挑戦している《日本一走るパティシエ》でもあります。
若い頃から心と体について学び続けてきた経験を活かし、「おいしい」「楽しい」「またがんばろう」と思える時間をお届けするのがライフワーク。
ブログでは、お菓子作りのコツはもちろん、走ること・生き方・メンタルのことも、等身大の言葉で発信していきます。

日本一走るパティシエ自身について
シェアする

コメント

タイトルとURLをコピーしました