壱〇弐四製法カステラ|ケーキ屋が本気で挑む、新しいカステラづくりの記録

お菓子作りへの思い

今、シフォンケーキと並んで、

密かに力を入れている新商品があります。

それが、現在試作中の

「壱〇弐四製法」カステラ。

まだ完成まではあと一歩ですが、

ここまでの道のりと、名前に込めた思いを

一度ちゃんと言葉にしておきたいと思います。

なぜ今「カステラ」なのか

京都でケーキ屋をしている僕ですが、

ある日ふと「ちゃんとしたカステラを買いたい」と思ったことがきっかけでした。

近所のスーパーに並んでいるのは、

大量生産の袋入りカステラがほとんど。

「じゃあ和菓子屋さんのカステラは?」とデパートも見て回りましたが、

意外なことに、常設で置いているお店は多くありませんでした。

ようやく見つけたのは、

長崎県の有名店が期間出店している売り場。

  • 「カステラといえば長崎」
  • 「本場の味が一番有名」

という時代の背景もあって、

“カステラ=長崎の専門店のもの” という構図がとても強いのだと感じました。

そこでふと、こんな疑問が浮かびました。

「じゃあ、ケーキ屋の発想でカステラを作ったらどうなるんだろう?」

  • しっとりしているのに、軽くてなめらかな口どけ
  • 今作っているシフォンケーキのような“やさしい食感”
  • でも味わいはしっかり深く、食べ応えもある

そんな “洋菓子屋のカステラ” を、

自分なりに形にしてみたくなったのが始まりです。

「壱〇弐四製法」という名前に込めた意味

カステラの世界には、

「五三焼き」 という有名な製法があります。

卵黄5:卵白3という比率で仕込むことで、

よりコクのあるリッチな風味に仕上げるやり方です。

今回の 「壱〇弐四製法」 という名前は、

その“五三焼き”へのリスペクトも込めて、

「自分なりのこだわりを、数字と漢字で表現してみよう」

と思ったところから生まれました。

  • 壱 = 一点の妥協も許さない素材選び
  • 〇 = 余計なものを足さず、引きすぎない姿勢
  • 弐 = 二度の火入れによる焼成の工夫
  • 四 = 素材・温度・湿度・泡立て、四つの見極め

五三焼きを土台にしながら、

「ケーキ屋としての自分の哲学はこれだ」 と名付けたのが、

この「壱〇弐四製法」です。

単なる数字の羅列ではなく、

ストーリーと技術を記号化した“製法名” だと思ってもらえたらうれしいです。

壱:一点の妥協も許さぬ、素材選び

素材はお菓子の命です。

  • 小麦粉
  • 上白糖
  • 水飴  など…

どれも同じように見えて、

鮮度・香り・風味はまったく違います。

「壱」は、

“素材の段階で妥協しない”

という決意の数字。

シンプルな配合のカステラだからこそ、

素材の良し悪しがそのまま味に出ます。

すべての美味しさの基盤は、ここから始まります。

何も足さず、何も引かず。素材のままで勝負する

〇(まる)は「ゼロ」ではなく、

“余計なものを足さない、完成された丸”

のイメージです。

  • 流行っているから、何でもトッピングする
  • 香りやリキュールでごまかす

そういった足し算ではなく、

  • 「この配合、この焼き方なら、この味になる」と
    きちんと説明できるお菓子にすること

を大事にしています。

「あえて足さない」 という選択が、

逆に奥深い味わいを生んでくれると信じています。

弐:二度の火入れで、しっとり感と香ばしさを両立

カステラづくりにおいて、焼成はもっとも重要な工程のひとつです。

「壱〇弐四製法」では、

  • 低めの温度でじっくりと火を入れる
  • 仕上げに高めの温度で表面に香ばしさをつける

という 二段階の火入れ を大切にしています。

この「弐」の工程で、

  • しっとり感
  • きめの細かさ
  • 表面の焼き色と香り

そのすべてのバランスが決まってきます。

数字では表せない「もう少し」「ここまで」の見極めが、

職人としての腕の見せどころです。

四:素材・温度・湿度・泡立て──職人の四つの見極め

最後の「四」は、カステラを焼くうえで

とくに重要だと感じている四つの要素を表しています。

  • 素材
  • 温度
  • 湿度
  • 泡立て

同じレシピでも、

  • その日の気温や湿度
  • 卵の状態
  • オーブンの機嫌

によって、最適な泡立て具合や焼成時間は変わります。

なかでも大きな発見だったのが、

「泡切り」の大切さ です。

  • 泡の切り方
  • 回数
  • タイミング

これだけで、

  • 食感の軽さ・重さ
  • きめの細かさ
  • 焼き上がりの風味

がまったく変わってきます。

レシピの数値だけでは決まらない、

五感を総動員した“感覚の仕事”。

これこそが「四」に込めた意味であり、

これからも磨き続けたい部分です。

ケーキ屋が考える「洋のカステラ」のかたち

配合としては、いまのところ

  • 上白糖
  • 小麦粉
  • はちみつ
  • みりん
  • 米油
  • バター

などを組み合わせています。

和菓子屋さんのカステラではあまり使わなさそうな素材も混ぜながら、

洋菓子屋ならではのコクと軽さのバランス を探っているところです。

目指しているのは、

  • しっとり、なめらかな口どけ
  • 噛むほどに卵のコクと甘みが広がる
  • でも後味はくどくなく、もう一切れ食べたくなる

そんなカステラです。

形も、定番の長方形だけでなく「丸型はどうか?」といったことまで含めて、

“洋菓子屋としてどう見せるか” を今も試行錯誤しています。

半年の試作で見えてきたことと、これから

自分の思うカステラに近づけるまで、

気づけば 半年以上、試作を続けてきました。

  • 泡の切り方・回数
  • 焼成温度と時間の微調整
  • 型のサイズや形
  • 冷まし方や寝かせ時間

など、ひとつずつ条件を変えながら、

「これだ」と思えるポイントを探っています。

正直に言うと、

まだ「ここが完成形です」と言い切れるところまでは来ていません。

でも、最初の頃と比べると、

「ようやく自分の理想の輪郭が見えてきたな」

という手応えも感じています。

おわりに|ここにしかないカステラを目指して

京都にはたくさんのお菓子屋さんがありますが、

その中で

“ケーキ屋が本気で作ったカステラ”

と胸を張って出せる一品を目指して、

今日も試作を続けています。

  • シフォンケーキのようなやさしい食感
  • カステラらしい卵のコクと深い甘み
  • 洋と和のいいところをぎゅっと詰め込んだ一切れ

そんなカステラが焼き上がったときには、

このブログと THE NICOLE の店頭・オンラインショップで、

あらためてご報告させていただきます。

「壱〇弐四製法」カステラ、完成までしばしお待ちください。

カステラ完成までの“いま”のおすすめシフォンケーキ

「壱〇弐四製法」カステラは、もう少しだけ試作を重ねてから

みなさんにお届けしたいと思っています。

そのあいだも、

やわらかい口どけの焼き菓子を楽しみたい方には、

THE NICOLE 自慢のシフォンケーキ をぜひ味わってみてほしいです。

  • ふわふわでしっとりとした生地
  • 食べたあとに重くならない、やさしい甘さ
  • スポーツ後や日常のごほうびにもぴったりな、軽やかな食べ心地

僕がシフォンケーキにハマってきた理由と、

「幸せは体から」というコンセプトをそのまま形にしたお菓子です。

店頭はもちろん、

遠方の方には オンラインショップから全国発送 もしています。

👉 やわらかい口どけのシフォンケーキは、こちらからどうぞ。

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【THE NICOLE 店舗情報】

京都の洋菓子店「THE NICOLE(ザ・ニコル)」
ふんわりしっとり食感にこだわったシフォンケーキと、からだにやさしいスイーツをお届けしています。

〒602-8243
京都府京都市上京区奈良物町481出水団地318
営業時間:10:30〜16:00
定休日:月・火

▶オンラインショップはこちら
https://nicolesweets.theshop.jp/

▶ホームページはこちら
https://nicolesweets.theshop.jp/

京都の洋菓子店「THE NICOLE」店主・ニコルです。
ふわふわシフォンケーキや体にやさしいスイーツを作りながら、マラソン・トライアスロンにも挑戦している《日本一走るパティシエ》でもあります。
若い頃から心と体について学び続けてきた経験を活かし、「おいしい」「楽しい」「またがんばろう」と思える時間をお届けするのがライフワーク。
ブログでは、お菓子作りのコツはもちろん、走ること・生き方・メンタルのことも、等身大の言葉で発信していきます。

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