シフォンケーキ第4話は、「メレンゲと焼成のコツ」のお話です。
ここまで第1〜3話で、配合バランス・卵と水分と油・粉の種類と役割を見てきました。
どれだけ配合が良くても、メレンゲの立て方と焼成の仕方がズレると、仕上がりは一気に変わります。
この回では、レシピというより「どう考えてメレンゲを作るか」「どうやってオーブンと仲良くするか」という視点でまとめていきます。
メレンゲがシフォンの「骨組み」になる
砂糖を入れるタイミングでメレンゲの性格が変わる
メレンゲは、卵白に砂糖を加えながら泡立てていきますが、
砂糖をいつ・どのくらいのタイミングで入れるかで、メレンゲの強さやキメの細かさが変わります。
ざっくり言うと、
- 最初から一気に砂糖を入れる → 泡が立ちにくく、重いメレンゲになりやすい
- 卵白が少し泡立ってきてから、数回に分けて入れる → キメの細かい、扱いやすいメレンゲになりやすい
というイメージです。
砂糖には「泡を安定させる」役割もあるので、
何も入れずにガンガン泡立てて、最後にまとめて砂糖だと、
一見ボリュームは出ても、壊れやすいメレンゲになってしまうことがあります。
立てすぎ・立てなさすぎで起こる失敗
メレンゲは「角が立てばOK」ではなく、
角の形やツヤ感で状態を見てあげることが大事です。
立て足りないと…
- 生地に混ぜたときにすぐ泡が消える
- 焼き上がりの高さは出ても、冷めると大きくしぼむ
逆に立てすぎると…
- メレンゲがボソボソして、ツヤがなくなる
- 混ぜてもなじまず、生地の中に白いスジやダマが残る
- 焼き上がりの表面が割れやすく、底上げの原因にもなる
といったことが起こります。
理想は、ツヤがあって、角がスッと立ちつつも先が少し曲がるくらい。
ここをひとつの目安として、自分のミキサーと卵の量で「このくらい」という感覚をつかんでいくイメージです。
泡をつぶさずに生地に混ぜるコツ
せっかく立てたメレンゲも、混ぜ方が乱暴だとあっという間に泡が消えてしまいます。
ポイントは、
- 卵黄生地の方を、あらかじめ「やわらかめ」に整えておく
- 最初のひとすくいは“なじませるように”しっかり混ぜる
- 残りは、ボウルを回す・ゴムベラは同じ方向で動かす
このあたりです。
「そっと混ぜる=動かさない」ではなく、
必要な回数だけ、同じリズムで素早く混ぜて、さっさと型に流す
このテンポ感も、仕上がりを左右します。
生地の温度と、オーブンに入るまでのスピード
材料が冷たすぎるとどうなる?
卵白や卵黄が冷蔵庫から出したてで冷たすぎると、
- 卵白がなかなか泡立たない
- 卵黄生地が重たく、メレンゲとなじみにくい
といったことが起こります。
逆に、真夏の暑い工房で、
材料もボウルも常温以上に温まっていると、
メレンゲが早く立ちすぎて「どのタイミングがベストか」が分かりにくくなります。
家庭では、
・卵は冷蔵庫から出して少し置く
・作業場の温度が極端になりすぎないようにする
このくらいを意識するだけでも、扱いやすさが変わってきます。
型に流してから焼くまでの“モタモタ時間”を減らす
メレンゲと卵黄生地を合わせてから、
型に流してオーブンに入れるまでの時間が長いと、
- 生地の中で泡がどんどん消えていく
- 焼き上がりの高さが出にくくなる
という影響が出ます。
- 型は先に用意しておく
- オーブンも余熱をすませておく
- 生地を混ぜ終わったら、一気に流して、軽くならしてすぐオーブンへ
「段取りを先に組んでおく」ことも、立派な“コツ”のひとつです。
焼成温度と時間で変わる「焼き色」と「ふくらみ」

温度が高すぎると表面だけが先に固まる
オーブン温度が高すぎると、
- 表面だけが早く固まって、真ん中が追いつかない
- 上だけ盛り上がって割れたり、底上げが起きたりする
といったことが増えます。
見た目はよく膨らんでいても、
カットしてみると下半分だけ詰まっていたり、
大きな穴が空いていたりするのは、このパターンが多いです。
低すぎると焼き縮み・ベタつきの原因に
逆に温度が低すぎると、
- なかなか焼き色がつかず、その分長時間焼くことになる
- それでも中心に火が入りきらず、冷めたときに大きくしぼむ
- 型から外したときに、表面がベタついている
という状態になりやすいです。
「高すぎず・低すぎず」のラインは、
オーブンの機種やクセ、型の大きさによっても変わります。
オーブンのクセをメモして、自分の“正解温度”を見つける
レシピ本の温度・時間は、あくまで目安です。
家庭用オーブンは、とくに機種ごとのクセがかなり大きいです。
- 指定より10℃下げたらちょうど良かった
- 逆に、表示温度より実測が低いタイプで、少し高め設定の方が安定した
など、自分のオーブンでの「正解」を見つけてしまえば、あとはその温度を基準に微調整していくだけで済みます。
一度、同じ配合で温度だけを変えて焼いてみて、
焼き色・膨らみ・焼き縮みの具合を比べてみると、オーブンの特徴が掴みやすくなります。
焼き上がりから冷めるまでが、シフォン作りの“ラストスパート”
逆さまにして冷ます理由
シフォンケーキは、焼き上がったら型ごと逆さまにして冷ますのが定番です。
これは、
- 熱いうちの生地はまだ柔らかく、重力で沈みやすい
- 逆さまにしておくことで、型にぶら下がる形になり、しぼみを防ぐ
という理由があります。
このとき、しっかり焼けていないと、
逆さまにしたときに生地が“ずるっ”と落ちてしまうこともあります。
逆さまにしても崩れないかどうかも、「焼けているか」のひとつの目安になります。
焼きたて・翌日、それぞれの良さ
シフォンは、焼きたてのあつあつをそのまま型から出して食べるよりも、
完全に冷ましてから型外しをして、数時間〜一晩おいた方が、なじんだおいしさになります。
- 焼きたて → 香りは強いが、水分がまだ落ち着いていない
- 数時間後〜翌日 → 生地全体に水分が行き渡り、しっとり・ふんわりが安定
お店でも、焼いたその日に並べる場合でも、
「どのタイミングでカットしてお客様に出すか」を逆算して焼成時間を決めています。
第1〜4話のつながりと、これからのシフォン作り

シフォンケーキ講座の4話では、
- 第1話:配合バランスの全体像
- 第2話:卵・水分・油の役割
- 第3話:粉と食感の関係
- 第4話:メレンゲと焼成のコツ
という流れで、シフォンを「レシピ」ではなく「考え方」で見てきました。
シフォン作りは、
配合 → メレンゲ → 混ぜ方 → 焼成 → 冷まし方
どれかひとつではなく、全部がつながって結果になります。
レシピ通りにやってもうまくいかないときは、
「どこを触れば変わるのか?」を、この4話をヒントに少しずつ探ってもらえたらうれしいです。
ここからは、プレーンだけでなく、
チョコレート・紅茶・抹茶など、フレーバーごとの考え方や、
お店で大事にしているポイントも、少しずつ書いていけたらと思っています。
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