THE NICOLEが出店しているのは、京都の堀川商店街です。
ここは「商店街を元気にしよう」と、10年以上前から活性化の活動が続いています。
僕たちも2019年からこの場所でお店をやらせてもらっていますが、正直、商店街の活性化は簡単ではないと日々感じます。
イベントをやっても、一時的に人は増える。でも、日常の賑わいに戻すのは難しい。
そんな中で、「じゃあ、商店街が元気になるって何なんだろう?」と改めて考えるようになりました。
この記事は、堀川商店街でお店を続ける中で見えてきたことをもとに、
自分なりに“商店街活性化に大事なこと”を整理したメモです。
商店街が廃れる理由:努力不足ではなく「役割の変化」
商店街が廃れていくのは、誰かの頑張りが足りないからではありません。
大きな原因は、「時代の変化」に対して商店街の役割が転換できなかったことにあります。
生活インフラとしての役割が変わった
昔の商店街は、生活に必要なものが徒歩圏内で揃う場所でした。
食料品、日用品、衣料品、そして人との会話。
買い物だけでなく、「暮らしそのものの中心」だったと思います。
でも今は、車・大型モール・ネット通販が当たり前です。
「買う」だけで見ると、商店街である必要はほとんどありません。
ここでまず、商店街の立ち位置が大きく変わってしまいました。
人は「目的地」にならない場所には行かない
昔は「とりあえず商店街へ」が成立していました。
でも今は、
- 何があるか
- 何のために行くのか
がはっきりしない場所には、人は行きません。
商店街が“通過点”になった瞬間から、
- 滞在時間が減る
- 会話が減る
- 信用が減る
その結果として、最終的に買い物も減っていきます。
個店防衛が進むと、全体の魅力が落ちる
売上が落ちると、各店舗は「自分の店のことで精一杯」になります。
すると、
- 商店街全体での魅力づくり
- 空気づくり
- 導線や居場所づくり
といった「街としての視点」が後回しになりがちです。
その結果、空き店舗が増え、さらに人が来ない――という流れが起きやすくなります。
賑わいの第一歩:最初に整えるのは「売上」ではない
商店街の賑わいを作るとき、いきなり「売ろう」とするのは逆効果になりやすい。
これは“商売をするな”という話ではなく、「順番」の話です。
賑わいは「滞在時間」から生まれる
賑わいは「人が多い」だけではありません。
滞在が生まれ、会話が生まれ、関係が生まれ、そこから信頼と購買につながります。
賑わいが生まれる順番は、僕の感覚ではこんな流れです。
- 来る(来訪)
- 止まる(滞在)
- 話す(接点)
- 覚える(信頼)
- ついでに買う/次回買う(購買)
売上は、この一番最後に自然とついてくるものだと感じます。
「売る圧」が初めての人を遠ざける
初めて来た人が「入りづらい」と感じる空気があると、人は立ち止まりません。
たとえば、
- 呼び込み・押し売りのような雰囲気
- 「見るだけ」は歓迎されなさそうな空気
- 常連さんだけのルールが存在していそうな空気
こういうものがあると、無意識のうちに人は足を止めず、そのまま通り過ぎてしまいます。
だから最初に作るべきは、「買ってもらうこと」よりも 安心感 です。
「ここに居てもいい」「ふらっと見てもいい」と思ってもらえるかどうかが、賑わいの入り口になります。
商店街の「空気感」とは何か:演出よりも、人の扱い方
空気感というと、BGMや照明、装飾などを想像しがちです。
もちろんそれも大事ですが、本質はそこではないと思っています。
空気感の正体は「どう扱われるか」の総和
商店街の空気感は、来た人が どう扱われるか の積み重ねで決まります。
- 何も買わなくても許されるか
- ふらっと入っても浮かないか
- 初めて来た人に対して排他的ではないか
- 声をかけられたときに、安心して話せる雰囲気か
この積み重ねが、「ここは居てもいい場所だ」と感じる雰囲気になります。
空気が変わらない商店街の共通点
空気が重くなる商店街には、いくつかの共通点があるように感じます。
- 売る圧が強い(呼び込み・押し売り・入りづらさ)
- 常連優先の空気がある(初見が入りにくい)
- 「こう振る舞うのが正解」という見えないルールが強い(失敗が許されない)
ここが変わらない限り、どれだけイベントや施策を増やしても、
「なんとなく入りにくい」という根っこの部分はなかなか変わりません。
「買いに来る理由のある店」も必要:空気だけでは街にならない
空気感が大事なのは間違いありません。
でも、それだけだと「で、何があるの?」という話になります。
やっぱり商店街には、買いに来る理由のある店(目的店) が必要です。
ここは「空気」か「店」か、どちらか一方ではなく、両方が大事です。
空気感と目的店は対立しない
- 空気だけ良い → 滞在はできるが、何をしに来る場所なのか分かりにくい
- 店が良いだけ → 用事が済んだらすぐ帰る(街としての広がりがない)
だから本当は、空気と目的店はセットで考える必要があります。
ただし順番としては、
空気が整っていないまま「売れそうな店」だけを集めても、
街として人が残らないことが多いのだと思います。
出店者は「機能」ではなく「役割」で見る
どんな出店者が大事かを考えるとき、
「何を売るか」だけで判断してしまうと、どうしても似た店が並んでしまいます。
それよりも、街の中でどんな 役割 を担うか、という視点が必要だと思います。
街に必要な出店者の特徴の一例としては、こんなイメージです。
- ここにしかない(唯一性)
- 「この人から買いたい」と思える人格・ストーリーがある
- 会話が生まれる(接点が生まれやすい)
- 買わなくても嫌な顔をしない(安心感がある)
“売上の強さ”だけでなく、
街の温度を上げる力 を持った出店者が、商店街全体の雰囲気を育てていきます。
活性化の実践:どこから手をつけるか
「商店街を変えよう」と思ったとき、
いきなり大改革をしようとすると、ほとんどの場合うまくいきません。
最初は、小さな変化を積み重ねていく方が現実的だと感じています。
「初めて来た人の目線」で商店街を歩いてみる
まずできるのは、自分たちの商店街を 初めて来た人の目線 で見直してみることです。
- 入口は入りやすいか
- 何をしていい場所か、すぐに分かるか
- 「見るだけ」でも浮かない雰囲気か
- 声をかけられたときに、安心して返事ができるか
「売上目線」ではなく「来訪者目線」に切り替えるだけで、
改善できるポイントがたくさん見えてきます。
一角から空気を変える:いきなり全体は狙わない
商店街全体を一気に変えるのは、現実的にはとても難しいです。
だからまずは、「一角」から空気を作るのが現実的だと思います。
- 外から見て入りやすい店
- 話しかけやすい店主がいる店
- 無理に売らない店
こうした店が“街の顔”になっていくと、
「ここなら来ても大丈夫」という安心感が少しずつ広がっていきます。
賑わいは「人数」ではなく「温度」で見る
最初は、人が大量に来なくても構わないと思っています。
- 1人が立ち止まる
- 2人が会話する
- 常連が増えていく
こうした小さな積み重ねが、後から人の流れを作ります。
賑わいは「音量」ではなく、「温度」だと感じています。
どれだけ人がいるかだけでなく、
その場の空気があたたかいかどうかを大事にしたいと思っています。
商店街活性化の結論:売上は最後、信用が先
商店街は「売らない場所」ではありません。
もちろん、商売をする場所です。
ただ、順番としてはこうだと感じています。
「売る前に信用が生まれる場所」を取り戻すこと。
具体的には、
- 居てもいいと思える空気
- 初めて来た人を受け入れる態度
- 目的になる店(理由のある出店者)
- 点を線につなぐ雰囲気づくり
この順で整っていくと、売上は自然に後からついてくるはずです。
まとめ:商店街を変えるのは、何かを足すより「力を抜く」こと
商店街活性化は、派手な施策を足す前に、まず空気を整えることから始まると思っています。
- 売上を追う前に、「来た人が安心して滞在できる雰囲気」を作ること。
- そのうえで、「買いに来る理由のある店(役割を持つ出店者)」を点として置き、
- それを街全体の空気で線につないでいくこと。
堀川商店街でお店を続けながら、
僕は今、こんなふうに商店街の活性化を捉えています。
ここに正解はありませんが、
同じように「商店街をなんとかしたい」と思っている誰かのヒントになればうれしいです。
――――
【THE NICOLE 店舗情報】
京都の洋菓子店「THE NICOLE(ザ・ニコル)」
ふんわりしっとり食感にこだわったシフォンケーキと、からだにやさしいスイーツをお届けしています。
〒602-8243
京都府京都市上京区奈良物町481出水団地318
営業時間:10:30〜16:00
定休日:月・火
▶オンラインショップはこちら
https://nicolesweets.theshop.jp/
▶ホームページはこちら
https://nicolesweets.theshop.jp/



コメント