シフォンケーキを焼いたとき、
- レシピ通りなのに、なんだかパサつく
- 焼き色はきれいなのに、しっとり感が足りない
そんな経験、ありませんか?
いろんなシフォンを見てきて感じるのは、
ほとんどの方が「焼きすぎ」ている
ということです。
しっとりシフォンの決め手は、
特別な材料よりも、まずは 「焼き時間の〇〇分」をどこに置くか。
今日は、僕が意識している焼き時間の考え方と、
「家ではやらないな」と思う3つの失敗例についてお話しします。
しっとりシフォンの決め手は「焼き時間のギリギリ」を探すこと
焼き色よりも「何分で大丈夫か?」を試してほしい
シフォンは、
- こんがり色が付いている=おいしい
ではありません。
しっかり焼こうとして、
- 指定時間よりも何分か長く焼く
- 焼き色が薄いと不安で、さらに2〜3分足してしまう
こうしているうちに、本来なら残っていてほしい水分まで飛んでしまうので、
パサパサ・ボソボソした食感になりやすいです。
本当にやってほしいのは、
「何分まで焼けば大丈夫か?」
自分のオーブンの ギリギリのラインを試していくこと
です。
少し勇気がいりますが、
- いつもの焼き時間より、まずは1〜2分短くしてみる
- 焼き上がりの高さ、色、翌日のしっとり感をメモする
この繰り返しで、
自分のオーブンにとっての「ちょうどいい〇〇分」が見えてきます。
当店のシフォンが「焼き色薄め」の理由

当店のシフォンは、
他店さんのシフォンと比べると 焼き色が薄い と感じる方も多いと思います。
それは、
かなり ギリギリの焼き時間 を攻めているから
です。
そのぶん、
- 逆さまにして冷ましているあいだに、
まれに「焼き落ち(型から落ちてしまう)」という失敗もあります。
正直、失敗は痛いです。
でも、それでもギリギリを攻めるのは、
その 1〜2分の違いで、食感も風味もまるで別物になる
ことを知っているからです。
[焼き時間で変わる「水分」と「卵の味わい」
焼けば焼くほど、卵の味は濃くなるけれど…
シフォンは、焼いているあいだに
- 水分がどんどん抜けていく
- 卵のたんぱく質に火が入り、風味が変わっていく
という変化が起こっています。
卵は、加熱すればするほど 味は濃くなっていきます。
ただ同時に、
- 甘さやまろやかさが消えていく
- 角の立った、少し固い印象の味になっていく
という一面もあります。
イメージしやすいのは すき焼き です。
濃いタレでしっかり焼いた牛肉だけを食べると、
味は濃いけれど、少し「しょっぱい・強い」印象になりますよね。
そこに 溶き卵をくぐらせると、急に甘くてまろやかになる。
あの感じです。
卵は、
- 生のまま
- 半熟
- しっかり火を通した状態
どこで止めるかによって、
同じ卵でも味わいが全然変わる素材です。
シフォンも同じで、
焼き時間を長くしすぎると、
卵の「甘さ・まろやかさ」の部分が薄れてしまう
だからこそ、焼き時間の1〜2分が、
しっとり感だけでなく「味の印象」にも大きく関わってきます。
焼き色は「仕込みの状態」も教えてくれる
生地がきれいにつながっているとき
焼き色は、焼き時間だけでなく、
仕込みの生地がどれだけきれいに整っているかでも変わります。
- 卵黄生地と油・水分がしっかり乳化している
- そこにメレンゲがなじんで、「ひとつの生地」になっている
こういう状態のときは、
- 生地全体がムラなく膨らむ
- 水分を中に抱えたまま、ふんわり焼き上がる
- 表面の焼き色も、ほどよく均一に付く
つまり、焼き色も食感もバランスがいいシフォンになりやすいです。
分離した生地は、“焼き色だけきれい” になりがち
逆に、仕込みの段階で生地が分離していると、
- 焼いている途中で 離水(余分な水分がにじみ出る) が起こる
- にじみ出た水分と一緒に砂糖が表面に移動する
- その糖分がオーブンの中でキャラメル化して、色だけきれいにつく
という流れになります。
一見、
「きれいなきつね色で、おいしそう!」
に見えるのですが、
中身は、
- 水分が抜けてパサパサ
- 甘さが表面に寄ってしまい、生地自体の味が弱い
という、“見た目だけ良いシフォン”になりがちです。
焼き色が濃い=うまい
ではなく、
焼き色の付き方で「仕込みがうまくいったか」も分かる
ここを知っておくだけでも、焼き上がりを見る目が変わってきます。
僕が「やらない」3つの失敗例
失敗① 焼き色が付くまで、とにかく長く焼いてしまう
一番多いのがこれです。
- 焼き色が薄いと「生焼けちゃうか?」と不安
- 心配になって、いつもの時間に2〜3分足してしまう
その結果、
- 水分が飛びすぎてパサパサ
- 卵のまろやかさが消えて、角の立った味になる
しっとりどころか、
自分で乾燥と硬さを作りにいってしまっている状態です。
僕は、
- まず「このオーブンで、この温度なら、この時間まで」と基準を決める
- それ以上焼きたいときは、時間ではなく温度側を調整する
という発想をします。
家庭でも、まずは
「この型・この温度なら、〇〇分以上は焼かない」
というラインを決めて、
その範囲で温度や配合を調整してみるのがおすすめです。
失敗② 分離した生地のまま「まあいいか」で焼く
仕込みのとき、
- 卵黄生地と油・水分がきちんと乳化していない
- メレンゲを混ぜたあと、生地がツヤなくボソボソしている
そんな状態になったときに、
「とりあえず焼いたらなんとかなるやろ」と型に流していませんか?
この「まあいいか焼き」は、ほぼ確実に
- パサパサ
- 甘みだけ表面に移ったシフォン
につながります。
分離しているときは、
- 焼いているあいだに離水が起こる
- 水分と一緒に砂糖が表面に出ていく
- 中は乾燥し、表面だけ甘く・濃くなる
という流れになるからです。
失敗③ 型から外したシフォンを、むき出しのまま放置する
ここからは、焼き上げたあとの話です。
粉は、水分を含んで熱が加わると 糊化(こか) します。
この糊化した状態が、しっとりふわふわのもとです。
ところが、糊化したものは、
そのまま空気にさらして乾燥すると、**老化(カピカピになること)**が進みます。
つまり、
- 型から外したシフォンをそのまま裸のまま
- 何時間もテーブルの上に置きっぱなし
これは、せっかくのしっとり感を自分で捨てているようなものです。
僕は、
- 完全に冷めてから型から外す
- すぐ食べない分は、ラップや袋で包んで空気に触れさせない
という流れを徹底しています。
家庭でも、
- 型から外したら、放置せず
- 食べない分は早めにラップ or 袋でカバーする
この一手間だけで、
翌日のしっとり感がまったく変わります。
まとめ:しっとりシフォンは「焼き時間・生地・扱い方」で決まる
しっとりシフォンを目指すとき、
ついレシピや配合の“秘密”を知りたくなりますが、
実は、
- 焼き時間を攻めすぎない(=自分のオーブンのギリギリ〇〇分を知る)
- 仕込みで生地を分離させない
- 型から外したあとの乾燥を防ぐ
この3つの方が、仕上がりに大きく影響します。
そして、うちのシフォンが少し焼き色薄めなのは、
その「ギリギリの〇〇分」を、あえて攻めているから
です。
- きれいな焼き色にこだわりすぎない
- 「まあいいか」で分離生地を焼かない
- 裸のまま放置しない
まずはここだけ意識してみてください。
「なんでいつもパサつくんやろ?」と思ったとき、
今日の3つの失敗例と、“その1〜2分”が味も食感も変えるという話を思い出してもらえたらうれしいです。


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