シフォンケーキの印象を大きく左右するのは、卵・水分・油の選び方とバランスです。卵黄と卵白の比率、水・牛乳・豆乳…
シフォンケーキ第2話は、「卵・水分・油」のお話です。

同じように見えるシフォンでも、卵黄と卵白のバランス、水分の種類、油の選び方が少し違うだけで、ふんわり感・しっとり感・口どけはガラッと変わります。
ここではレシピそのものではなく、考え方の土台として、プロが日々の仕込みで意識しているポイントをまとめてみます。
卵黄と卵白のバランスで変わる「コク」と「軽さ」
卵黄が増えると…コクは増えるけれど重くなる
卵黄は、脂質と旨味のかたまりです。
卵黄が多い配合にすると、風味が濃く、コクのあるシフォンになりますが、その分だけ生地はやや重くなります。
よくある失敗としては、
- 焼き上がりは高く膨らんでいても、冷めると大きくしぼむ
- 下の方が少し詰まったような、ムラのある断面になる
などがあります。
これは配合だけでなくメレンゲや焼成とも関係しますが、「卵黄を増やせばおいしくなる」という単純な話ではない、というのがポイントです。
卵白が増えると…軽くふわっと、でもキメが粗くなりやすい
卵白は、メレンゲの泡の骨組みを作る存在です。
卵白多めの配合は、ふわっと軽いシフォンになりやすい一方で、
- 泡が大きくなりすぎて、気泡の大きい穴が出やすい
- 口に入れた瞬間は軽いけれど、味の印象が薄く感じられる
といったことも起こりがちです。
大事なのは「誰に、どんなシーンで食べてほしいか」
卵黄と卵白のベストバランスは、
- 健康のために軽く食べたい人向けなのか
- しっかりした満足感を求める人向けなのか
によっても変わります。
私は、シフォンの種類によって卵黄・卵白のバランスを少しずつ変えながら、「軽さ」と「コク」の落としどころを探るイメージで配合を組み立てています。
水・牛乳・豆乳・生クリーム。水分の違いで変わる口どけ「水だけ」の配合は、軽くてシンプル
水のみを使ったシフォンは、非常に軽くてシンプルな味わいになります。
さっぱりとした口どけで、フレーバー(紅茶や柑橘など)を前面に出したいときには相性が良いです。
一方で、油や卵黄とのバランスが合わないと、パサつきを感じやすいという面もあります。
「軽さを出しつつ、どうやって水分感をキープするか」が課題になりやすい配合です。
牛乳を使うと、まろやかさとコクがプラスされる
牛乳を加えると、たんぱく質と乳脂肪の分だけ、コクとまろやかさが出ます。
ミルク感のあるシフォンや、チョコレート系など「少しリッチにしたい配合」に向いています。
ただし、牛乳の量が多すぎると、
- 生地が重たくなり、膨らみにくくなる
- 焼き上がりに表面がベタつきやすい
といったことも起こるので、全体のバランスを見ながら量を調整する必要があります。
豆乳・植物性ミルクは「軽さ」と「優しいコク」のバランス
豆乳やオーツミルクなどの植物性ミルクは、
動物性の脂質を抑えながら、軽いコクを足したいときに向いています。
ヴィーガン対応の商品や、からだに負担をかけたくないコンセプトのシフォンとは、特に相性が良い素材です。
生クリームを水分の一部に使う場合
生クリームを加えると、一気にリッチで濃厚なシフォンになります。
ただし、脂肪分が多いぶん、
- メレンゲとのバランスが崩れると膨らみにくい
- 焼き縮みや、**底上げ(下の方だけ詰まる)**が起こりやすい
といった難しさも出てきます。
水・牛乳・豆乳・生クリーム。
どれが正解というよりも、「どんなイメージのシフォンに仕上げたいか」から逆算して、水分を選ぶ・組み合わせるのがプロの考え方です。
油の種類で変わる「キレ」と「後味」
なぜシフォンに油が必要なのか
油は、シフォンのしっとり感・老化のしにくさに大きく関わる素材です。
油が少なすぎると、焼きたては良くても、時間が経つとパサつきやすくなります。
サラダ油・菜種油・オリーブオイル、それぞれの特徴
- サラダ油・キャノーラ油:クセが少なく、軽い後味。オーソドックスなシフォンに向いています。
- 菜種油:ややコクと香りがあり、風味に厚みが出ます。穀物感のある味わいが好みの方に。
- オリーブオイル:香りがしっかりしているので、フレーバーとして活かしたい時だけ使うイメージです。
米油を選ぶ理由
私がシフォン作りで大切にしているのは、
- 食べ終わったあとに重たさが残らないこと
- 紅茶・抹茶・チョコレートなど、素材の香りを邪魔しないこと
という2点です。
その意味で、**米油は「クセの少なさ」と「後味の軽さ」**のバランスがとても良い油だと感じています。
さっぱりしているのに、しっとり感はちゃんと出てくれるので、「甘さひかえめ」「軽い口どけ」を目指すシフォンとは相性が良い油です。
ご家庭で試すときのポイント
いきなり全部変えない。1つずつ試す
卵・水分・油は、どれもシフォンの仕上がりに強く影響します。
一度に全部変えてしまう「どの変更が良かったのか/悪かったのか」**が分からなくなってしまいます。
家庭で試す場合は、
- まずは油だけ、サラダ油 → 米油に替えてみる
- 次に、水の一部を牛乳や豆乳にしてみる
- 卵黄・卵白の比率は、少しずつ変えて様子を見る
といったように、一度に1項目だけ変えるのがおすすめです。「軽さ」と「満足感」のバランスを、自分なりに決める
シフォンケーキは、
軽くてパクパク食べられるおやつにもなりますし、
しっかり満足感のあるごちそうスイーツにもなります。
どちらも正解です。大事なのは、
- 誰に食べてほしいのか
- どんなシーンで食べてほしいのか
をイメージしたうえで、卵・水分・油のバランスを決めていくことだと思っています。
第2話では少しマニアックな話も多かったかもしれませんが、
「シフォンは、卵・水分・油だけでもこれだけ表情が変わるんだな」と感じてもらえたらうれしいです。
次回の第3話では、**「粉の種類とブレンド」**について、
ふわふわ感としっとり感のバランスの考え方をお話ししていきます。
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